CASE STUDY お客さまの導入事例

「すごい早かった」――設計図書の拾い出しから見積まで、一気通貫

有限会社 鷹
代表取締役 吉崎 佐智夫 氏

広島県東広島市のとび・土木工事業「有限会社 鷹」様。入札の拾い出しから積算・見積までを、補助金も活用しながらkintoneで一気通貫に。トライアル初日の第一声は「すごい早かった」。中小建設業のデジタル化事例をご紹介します。


足場を組み、鉄骨を建て、道路や造成の現場で土を動かす――とび・土木の現場の毎日は、屋外の身体仕事です。ですが、その裏側には、入札公告を読み、設計図書から数量を「拾い出し」、積算し、見積をつくる――という、もうひとつの仕事があります。この作業には手間と時間がかかりがちで、経験と勘に支えられる部分も大きいものです。

広島県東広島市で、足場組立・鉄骨建方から道路・造成などの土木工事までを手がける「とび・土木工事業」、有限会社 鷹(たか)。その代表・吉崎 佐智夫様も、この「現場の前後にある事務」に向き合ってきた一人です。同社はいま、kintone(キントーン)を基盤とした業務管理システムの導入を進めています。構築を手がけたのは、同じ東広島市に拠点を置く業務システム構築会社・株式会社ixis。2026年6月22日には積算「拾い出し」機能のトライアルを開始し、本格運用開始を目指して、まさに”使い始め”の真っただ中にあります。本記事では、その取り組みの全体像をご紹介します。

一つの見積に、2〜3時間。拾い出しは、すべて手作業でした

公共工事の入札に挑むには、まず入札公告と設計図書に目を通し、必要な材料や手間を数量として割り出さなければなりません。いわゆる「拾い出し」です。これを紙やExcelで一件ずつ進めていくと、手間がかかるうえ、やり方が人に依存しやすくなります。経験者の頭の中にノウハウが溜まり、属人化していく――これは中小の建設業に共通しやすい悩みでもあります。

吉崎様によれば、これまでは入札のたびに、まず設計図書(PDF)に目を通し、図面から拾い出して、さらに数量を拾い出し、積算・見積へとつなげる――その大半を手作業で進めてきました。手間は数量の拾い出しだけではありません。「単価がコロコロ。やっぱり行政で変わってきますんで」と吉崎様。その都度、最新の単価を調べ、合っているかを確かめ、一つひとつ直していく必要がありました。一つの見積をつくるのに、金額規模にもよりますが2〜3時間ほど。その大部分が、この拾い出しに費やされていたといいます。しかも人の手による作業だけに、拾った数字の取り違えが見積金額に響いてしまったことも「あります」と打ち明けます。

作り込んでいくのが、面白そうだなって

相談のきっかけは、ixis(担当・杉原)との接点でした。決め手として吉崎様がまず挙げたのは、補助金の存在です。AI導入補助金や東広島市の物価高騰対策(チャレンジ)補助金を使ってkintoneで取り組めること、そしてixisがその申請まで支援したことが「大きい」と振り返ります。加えて、自社の業務に合わせてつくり込んでいく進め方そのものにも惹かれたといいます。

「kintoneで作り込んでいくのが、なんか楽しそう、面白そうだなって思いましたね」

当初は本当に自動積算のようになるのか半信半疑だったといいますが、その不安も、実際に手を動かすなかで少しずつ形になっていきました。

「取り込んでから、拾って、出すまで」を一本の線に

ixisが鷹のために組み上げたのは、入札から工事・原価管理までを一本の線でつなぎ、kintone上に集約する業務フローです。

  1. 入札公告・設計図書の取込
    専用ツール「TakaBidIntake」で、東広島市の入札公告や設計図書のPDFをボタン操作でkintoneへ。設計図書の内訳表を読み取り、そのまま積算の内訳へ直接取り込めるのが肝です。
  2. 積算「拾い出し」
    工種を選んで数量を入力するだけで、内訳・概算金額に加え、材料・労務・機械それぞれの内訳まで自動算出。取込ツールを使わない場合でも、この操作だけで積算が組めます。
  3. 見積
    これまで使ってきたExcelの見積書をもとに様式や単価を初期設定して移行。慣れた様式の延長線上で見積書を出せます。
  4. 案件管理 → 工事・原価管理
    一連の情報がkintone上に集約。操作マニュアルや基本設計書も整備済みで、現場で運用しやすい体制です。

紙やExcelに散らばっていた「取り込む・拾う・見積もる・管理する」を、一本の線でつなぐ。これがこのシステムの狙いです。

「ちょっと触ってみたら、すごい早かった」

導入は段階的に進んできました。まず工事台帳アプリを試作し、見積書からのデータ自動投入を実装。そして2026年6月22日、積算「拾い出し」機能のトライアルが始まりました。

つまり鷹のシステムは、まだ走り出したばかりです。「これで何時間減った」といった確定した数字を語る段階ではありません。ですが、PDF取込と拾い出しの自動算出によって、これまで手作業で行ってきた積算の省力化・スピードアップ・標準化がどこまで進むか――その答えは、これから現場で確かめられていきます。属人化しがちだった業務を、誰でも同じ手順で進められる仕組みへ。それが目指す姿です。

トライアルを始めての第一印象を、吉崎様はこう振り返ります。「ちょっと触ってみて作ったんですけど、すごい早かった」。これまで目視で一つひとつ拾い上げていた作業が、設計図書を読み取らせるとデータとしてまとまって出てくる――この自動化が、使い始めてまず実感できた便利さでした。一方で、現場で使い込むなかでの気づきもあります。アプリ(案件管理・工事台帳・積算)の並びや画面のつながりは、もう少し整理して直感的に使えるようにしてほしい。設計図書によってはまだうまく読み取れないものもあります。こうした声は、運用初期だからこそ拾える改善の種です。サポート体制については、「むしろリマインドしてくれて、助かります、本当に」と。出力まわりの小さな調整なら「今回はもう少ないんで、自分でExcelで作れますので、やってみようかな」と、自ら手を動かすことも厭わない――現場の人らしい身軽さものぞきます。

諸経費を調整しながら、目標額へ柔軟に

工種ごとの単価をベースに、共通仮設費や現場管理費、一般管理費などの諸経費を調整しながら、全体の金額を整える運用を考えています。現場での積算方法に合わせて、必要に応じて諸経費の比率を見直し、目標とする金額へ柔軟に近づけられることが、本格運用に向けた重要なポイントとなっています。

同じ現場感を持つ、同業の方へ

建設の仕事は身体が資本です。だからこそ、その前後にある事務をどう軽くするかは、経営の体力にも直結します。同業の中小建設業のなかには、入札・積算・見積に手間を感じながらも、専用システムの導入には踏み切れず、結局Excelに戻ってしまう事業者も少なくありません。鷹のように、補助金も活用しながら、自社の身の丈に合った形でデジタル化していく――その姿は、同じ悩みを持つ事業者にとって、ひとつの選択肢を示してくれます。

「正直、専用の積算システムは高くて、中小にはなかなか手が出ません。その点ixisさんは、補助金も活用しながら自社のやり方に合わせて作り込んでくれて、実際に触ってみたら『こんなに早く形になるのか』と。困ったときにこまめに声かけ・リマインドもしてくれるので、安心して任せられます。入札の積算・見積に手間を感じている同業の方には、おすすめです。」

── 有限会社 鷹 代表取締役 吉崎 佐智夫 様

会社概要
有限会社 鷹(たか)|とび・土木工事業(足場組立・鉄骨建方〜道路・造成などの土木)|広島県知事許可 第038114号|広島県東広島市西条町寺家562-3|代表取締役:吉崎 佐智夫
構築:株式会社ixis(広島県東広島市) お問い合わせ:https://ixis.ai/contact/

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