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杉原 里志

スポットライトの届かない場所で、人は何をしているか。

ブログ 2026.03.19

 

経済団体で活動していると、委員長だとか、副委員長だとか、いろいろな役職が回ってきます。
それはまるで、劇団の配役のように。
主役のポジションに立つとき。 それは、正直、誰だって頑張れます。

そこには強い光が当たり、やりがいという名の熱があり、喝采という目に見える評価がある。

「よし、やってやろう」と、自然に背筋が伸びる。

 

でも、本当に難しいのはそこじゃない。 身がよじれるほど難しく、そして人間臭いのは、自分が「脇役」のときです。
誰かが主役のとき。 その人を、ちゃんと主役にさせるために、光の当たらない場所で、必死に支えられるかどうか。

これが、組織人としての、いや、人間としてのいちばんの分かれ道だと思っています。

正直に言えば、私たちは弱い。 自分が脇役のときには、つい手を抜きたくなる。

 

そして、自分が主役のときだけ、ここぞとばかりに全力を出す。 そういう人が多いのも、自然です。

人間ですから。 自分の可愛さには勝てないし、他人の成功を心から喜べるほど、私たちは高尚にはできていない。

 

でも、私は思うんです。
次に主役になるあなたが、今、いろんな理屈を並べて、「今回は自分の番じゃないから」と全力を尽くさない。
その姿を、次の次の世代は、黙って見ています。
「忙しいから」 「役割が違うから」 「それは自分の仕事じゃないから」
言葉は便利だ。理屈はいくらでもつくれる。 でも、その言葉は、自分の狡(ずっ)さを隠すための「蓋(ふた)」でしかない。

それは支援じゃない。それは、言葉による「静かなるボイコット」です。

 

人が主役のときに、その人を引き立てる努力を放棄しておいて、いざ自分の番になったら「さあ、支えてくれ」と言う。
それは、あまりに都合がよすぎるパラドックスだ。

組織というのは、輝かしい主役の連続でできているのではありません。
脇役の本気が、主役を主役に押し上げている。

その、見えない場所での「体温」の積み重ねでしか、組織は前に進まない。

 

だから私は思います。

 

人が主役のときに、歯を食いしばって支えられない人は、次の責任者を名乗るべきじゃない。
主役を引き立てる覚悟もなく、責任者の肩書きだけ欲しがって、お神輿に乗ろうとするのは、正直、見苦しい。

恥を知れ、とまでは言わない。
でも、自分自身に、静かに問い直してほしい。

「自分は、人を主役にする側の努力を、本当にしてきただろうか」と。
「自分は、自分という人間に『蓋』をして、逃げてはいなかったか」と。
組織人としての矜持は、スポットライトの外側、あの暗がりの中で、どれだけ汗をかけたかで決まる。

私は、そう思っています。

 

委員長と副委員長。 肩書きだけ見れば、上下関係のようで、でも実態は、役割の違いにすぎません。
委員長は「前に立つ役」。副委員長は「前に立たせる役」。
この違いを、役職の軽重と勘違いした瞬間に、組織は一気に薄っぺらくなります。
副委員長の仕事は、委員長の代わりをすることではありません。

委員長が、迷いなく前に立てる状態をつくること。 これが、副委員長の本質です。

 

委員長が言い切れる材料を揃える
委員長が判断しやすい選択肢を出す

委員長が矢面に立てるよう、泥をかぶる裏を引き受ける

 

これをやり切った副委員長は、正直、目立ちません。 誰からも褒められないかもしれない。

でも、「この委員会、うまく回っているな」と感じさせる空気は、ほぼ間違いなく、その副委員長がつくっています。

ここからの学びは、実はとてもシンプルで、かつ切実です。 人は、“主役の練習”を、脇役の時間でしかできない。

副委員長の立場で、委員長を立てることができない人は、委員長になったとき、必ず孤立します。

なぜなら、「支える側の視点」、つまり「支える側の痛み」を知らないから。

逆に、副委員長として本気で支え切った人は、委員長になった瞬間、わかります。

「ああ、こうしてもらえると助かるんだな」

「ここを引き受けてくれる人が必要なんだな」 と。身体感覚として、理解できる。

この感覚を持っている委員長は、強い。 そして、なによりも、優しい。

その優しさは、弱さではなく、強さからくる優しさです。

 

もう一つ、学びがあります。

副委員長は、“評価されない覚悟”を引き受ける役職だということ。

成果は委員長のものになる。拍手も、感謝も、前に立つ人に集まる。

それでも、「まあ、いいか」と笑えるかどうか。

ここで拗ねてしまう人は、どんな役職についても、結局、組織を私物化してしまう。

まとめます。

委員長は、主役
副委員長は、主役を成立させるための舞台装置
副委員長の時間は、最高の委員長研修

脇役で本気を出せない人は、主役の器ではない

 

これは、経済団体に限らず、会社でも、プロジェクトでも、家庭でも同じです。

だからこそ。 「今は副委員長だから」という言い訳をした瞬間に、人としての成長は止まる。

今、誰を主役にしているか。 その、誰にも見られていない時間の過ごし方が、次のあなたをつくる。

私は、そう思っています。

この記事を書いた人
2021年に株式会社ixisを創業し、代表取締役を務める。人材業界で新規事業立ち上げに従事した経験を活かし、「ぐっとくる会社を、もっと。」をビジョンに、中小企業の経営力向上と組織開発を支援。経営者向け勉強会「経営の仕組み化ラボ」を主宰し、地域企業のネットワーク構築や課題解決に取り組む。ITと人事の融合による実践的なコンサルティングで、地域経済の活性化を目指している。
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