- Shuhei Nakaso
kintone × Looker Studioでデータドリブンな意思決定を加速!ポータル活用で粗利目標達成へ
はじめに:ビジネスにおけるデータ活用の重要性
現代のビジネス環境において、データは企業の競争力を左右する重要な要素となっています。しかし、kintoneに蓄積されたデータを有効活用し、迅速な意思決定につなげるためには、データの可視化・分析が不可欠です。kintone標準の機能だけでは、データの詳細な分析や、複数アプリのデータを組み合わせた分析には限界があります。
そこで注目したいのが、Googleが提供する無料のBIツール「Looker Studio」です。Looker Studioは、kintoneと連携することで、kintoneのデータを分かりやすく可視化し、より深い分析を可能にします。
本記事では、Looker Studioをkintoneポータルに表示するメリットと、その具体的な方法、そして弊社での活用事例をご紹介します。Looker Studioを活用して、データドリブンな意思決定を実現し、ビジネスを加速させましょう。
Looker Studioとは?
Looker Studioは、Googleが提供するBI(ビジネスインテリジェンス)ツールです。様々なデータソースと接続し、データを分かりやすいグラフや表で可視化することができます。
主な機能:
- データの可視化: 棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ、表など、様々な形式でデータを表示できます。
- レポート作成: 複数のグラフや表を組み合わせたレポートを作成できます。
- データ共有: 作成したレポートは、他のユーザーと共有できます。
- インタラクティブな操作: レポートの表示期間を変更したり、フィルタを適用したりすることで、データを動的に分析できます。
特徴:
- kintoneとの連携が容易: kintone用のコネクタが用意されており、簡単にデータ連携できます。
- 無料プランがある: 無料で基本的な機能を利用できます。
- 直感的な操作性: ドラッグ&ドロップ操作で、簡単にレポートを作成できます。
kintoneとLooker Studioを連携するメリット
kintoneとLooker Studioを連携することで、以下のようなメリットがあります。
- kintoneデータの可視化: kintoneに蓄積されたデータを、Looker Studioで分かりやすく可視化できます。
- リアルタイム分析: kintoneのデータが更新されると、Looker Studioのレポートにも自動的に反映されるため、ほぼリアルタイムのデータに基づいた意思決定が可能です。
- 専門知識不要: プログラミングの知識がなくても、直感的な操作でレポートを作成・分析できます。
- 情報共有の促進: 作成したレポートは、kintoneのポータルやスペースで共有できるため、チームメンバーとの情報共有がスムーズになります。
Looker Studioをkintoneポータルに表示する方法
Looker Studioをkintoneポータルに表示するには、以下のステップで設定を行います。
5-1. Looker Studioでレポートを作成する
まず、Looker Studioでkintoneのデータを可視化するレポートを作成します。
- Looker Studioにアクセス:
- Looker Studio(https://lookerstudio.google.com/)にアクセスし、Googleアカウントでログインします。
- データソースの追加:
- 「作成」ボタンをクリックし、「データソース」を選択します。
- Google Connectorsから「Google スプレッドシート」を選択します。
- kintoneから出力したCSVをスプレッドシートに貼り付けたスプレッドシートを選択します。
- レポートの作成:
- 「作成」ボタンをクリックし、「レポート」を選択します。
- 空白のレポート、またはテンプレートを選択します。
- グラフや表などのコンポーネントを追加し、kintoneのデータを可視化します。
- 「グラフを追加」から、棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ、表など、様々な種類のグラフを選択できます。
- 「ディメンション」と「指標」を設定し、表示するデータを指定します。
- 「期間」を設定することで、データの表示期間を絞り込むことができます。
- 「フィルタ」を設定することで、特定の条件に合致するデータのみを表示することができます。
- レポートのデザインを調整します(色、フォント、レイアウトなど)。
5-2. 作成できるレポートの例
kintoneのデータを使って、Looker Studioで以下のようなレポートを作成できます。
- 売上・利益関連:
- 粗利目標の進捗状況: 粗利目標と実績を比較し、達成度を可視化します。
- 売上推移: 月別、四半期別、年別などの売上推移をグラフで表示します。
- 商品別売上ランキング: 売れ筋商品を把握し、販売戦略に役立てます。
- 担当者別売上: 営業担当者ごとの売上実績を比較し、評価や指導に活用します。
- 地域別売上: 地域ごとの売上状況を把握し、地域特性に合わせた戦略を立てます。
- 顧客関連:
- 顧客数推移: 新規顧客、既存顧客、休眠顧客などの推移を把握します。
- 顧客満足度: アンケート結果などを基に、顧客満足度を可視化します。
- 顧客属性分析: 顧客の年齢層、性別、地域などの属性情報を分析します。
- 案件管理:
- 案件進捗状況: 各案件の進捗状況(商談中、受注、失注など)を一覧表示します。
- 案件数推移: 新規案件数、完了案件数などの推移を把握します。
- 担当者別案件数: 各担当者の抱えている案件数を把握し、業務負荷を調整します。
- その他:
- 在庫管理: 商品ごとの在庫数を把握し、適切な発注計画を立てます。
- 勤怠管理: 従業員の勤務時間、残業時間などを集計し、労務管理に役立てます。
- 問い合わせ管理: 問い合わせ件数、対応状況などを把握し、顧客サポートの品質向上につなげます。
これらはあくまで一例です。kintoneに蓄積されているデータであれば、Looker Studioで様々なレポートを作成できます。
5-3. レポートの共有設定を行う
作成したレポートをkintoneポータルに表示するためには、共有設定を行う必要があります。
- 共有設定画面を開く:
- Looker Studioのレポート編集画面で、「共有」ボタンをクリックします。
- 共有設定を変更する:
- 「リンクを共有」の項目で、「リンクを知っている全員が閲覧可」または「リンクを知っている組織内の全員が閲覧可」を選択します。
- 組織外のユーザーにも共有したい場合は、「リンクを知っている全員が閲覧可」を選択します。
- kintoneの利用ユーザーに限定したい場合は、「リンクを知っている組織内の全員が閲覧可」を選択します。
- 必要に応じて、特定のユーザーやグループに対して、編集権限を付与することもできます。
- 「保存」ボタンをクリックします。
- 共有リンクを取得する:
- 「共有可能なリンクを取得」をクリックし表示されるURLをコピーします
5-4. kintoneポータルにLooker Studioのレポートを埋め込む(kintone portal designer利用)
kintone portal designerを使うと、Looker Studioのレポートをkintoneポータルに埋め込むことができます。
- kintone portal designerのインストール:
- Chromeウェブストアからkintone portal designer拡張機能をインストールします。(https://chromewebstore.google.com/detail/kintone-portal-designer/kmedncknheiegbelfmcfdlpcpfbnklmo?pli=1)
- kintone portal designerの起動:
- kintoneのポータル画面を表示します。
- Chromeのツールバーに表示されたkintone portal designerのアイコンをクリックします。
- 「パーツ」から「iFrame」を選択:
- kintone portal designerの編集画面で、左側の「パーツ」タブから「iFrame」を選択します。
- iFrameを配置しURLを設定:
- iFrameをポータルの表示したい場所にドラッグ&ドロップします。
- 配置したiFrameをクリックして選択し、右側の設定パネルで以下の設定を行います。
- URL: 5-3でコピーしたLooker Studioのレポートの共有リンクを貼り付けます。
- 幅/高さ: 必要に応じて、レポートの表示サイズを調整します。
- スクロールバー: レポートのサイズに合わせて、スクロールバーの表示/非表示を選択します。
- 変更を保存:
- 画面右上のトグルボタンが「Design Portal」になっていることを確認
- 画面右上の「Save」ボタンをクリック
- kintoneにJavaScript/CSSを適応する
- kintone portal designerのトグルボタンを「Default」にする
- 「Export」ボタンから「Export as JavaScript(Desktop)」を選択しJavaScriptファイルを書き出す
- kintoneのシステム管理画面で、「JavaScript / CSSでカスタマイズ」を開きます。
- 「PC用のJavaScriptファイル」で、書き出したJavaScriptファイルをアップロードして追加します。
- kintoneのポータル設定で、「ポータルに表示するコンテンツ」のチェックをすべて外します(元のポータルコンテンツを非表示にするため)。
kintone portal designerを利用するメリット
- iFrameパーツを使うことで、Looker Studioのレポートをkintoneポータルに表示できます。
- ドラッグ&ドロップ操作で、レポートの配置場所を調整できます。
注意点
- 全ユーザーに公開する場合は、kintone portal designerをDefaultにし、JSファイルをkintoneにアップロードする必要があります
Looker Studioを活用したデータ分析と意思決定(貴社の事例)
弊社では、kintoneのポータル画面にLooker Studioのレポートを表示し、データに基づいた迅速な意思決定に役立てています。
ポータルに表示しているレポートの例:
- 粗利目標の進捗状況: 月次、四半期ごとの粗利目標と実績を比較し、達成度をグラフで表示しています。
- 売上推移: 各月の売上高、粗利額の推移を折れ線グラフで表示し、トレンドを把握しています。
- 商品別売上ランキング: 商品別の売上高、粗利額をランキング形式で表示し、売れ筋商品を把握しています。
- 営業担当者別売上: 各担当者の売上実績を棒グラフで比較し、目標達成度や課題を把握しています。
レポートから読み取れること:
- 粗利目標に対する進捗状況が一目で分かるため、目標達成に向けたアクションプランを早期に検討できます。
- 売上トレンドや売れ筋商品を把握することで、効果的な販売戦略を立案できます。
- 営業担当者ごとの実績を比較することで、個々の課題や強みを把握し、適切な指導やサポートにつなげられます。
データに基づいた具体的なアクションプランの例:
- 粗利目標の達成が厳しい場合、売れ筋商品の販促強化や、新規顧客開拓の強化などの対策を講じます。
- 特定の商品の売上が低迷している場合、原因を分析し、商品改良や販売方法の見直しを行います。
- 営業担当者ごとの実績に差がある場合、成功事例を共有したり、研修を実施したりすることで、全体の底上げを図ります。
Looker Studio導入後の効果:
- 意思決定のスピードアップ: リアルタイムに近いデータに基づいた判断ができるようになり、意思決定のスピードが向上しました。
- 目標達成率の向上: データに基づいたアクションプランを実行することで、目標達成率が向上しました。
- 営業活動の効率化: 営業担当者が、自身の売上状況や課題を把握しやすくなり、より効率的な営業活動ができるようになりました。
- 情報共有の円滑化: ポータルでレポートを共有することで、チーム全体で同じ目標に向かって取り組む意識が高まりました。
注意点
Looker Studioをkintoneと連携する際には、以下の点に注意しましょう。
- データの範囲と更新頻度: Looker Studioで扱うデータの範囲と更新頻度を適切に設定しましょう。
- kintoneのデータ量が多い場合は、Looker Studioでの処理に時間がかかることがあります。
- データの更新頻度は、kintoneのAPIの利用制限に影響する可能性があります。
- 機密情報や個人情報の取り扱い: Looker Studioで機密情報や個人情報を扱う場合は、共有範囲を適切に設定し、情報漏洩に注意しましょう。
- Looker Studioの利用規約の確認: Looker Studioを利用する際には、利用規約を確認し、遵守しましょう
まとめ:kintone × Looker Studioでデータドリブン経営を!
kintoneとLooker Studioを連携し、kintoneポータルにLooker Studioのレポートを表示することで、データに基づいた迅速な意思決定が可能になります。弊社では、この連携を活用し、粗利目標の達成や営業活動の効率化に成功しています。
ぜひ、貴社でもkintoneとLooker Studioの連携を検討し、データドリブンな組織文化を醸成し、ビジネスを加速させてください!
用語集
- BI(ビジネスインテリジェンス): 企業が持つデータを収集・分析し、経営判断に役立つ情報として活用すること。
- Looker Studio: Googleが提供する無料のBIツール。様々なデータを分かりやすいグラフや表で可視化できる。
- データソース: Looker Studioで利用するデータの源。kintone、スプレッドシート、データベースなど。
- コネクタ: Looker Studioとデータソースを接続するための機能。kintone用のコネクタもある。
- APIトークン: kintoneのデータに外部からアクセスするための認証キー。kintoneで生成する。
- ディメンション: Looker Studioでデータを分類するための項目。例:日付、商品名、顧客名など。
- 指標: Looker Studioで集計・計算する数値データ。例:売上高、数量、顧客数など。
- kintone portal designer: kintoneのポータル画面をカスタマイズできるChrome拡張機能。
- iFrame: Webページ内に別のWebページを埋め込むためのHTMLタグ。
- JavaScript / CSSでカスタマイズ: kintoneの機能を拡張したり、デザインを変更したりするための設定。
- データドリブン: データに基づいて、客観的に判断・行動すること。