- Shuhei Nakaso
中小企業がAWSで実現できること – 具体的なサービスと構築できるシステムを紹介
中小企業がAWSで実現できること
前回の記事では、AWSの概要と導入メリット、そして中小企業における活用事例をご紹介しました。
今回は、さらに一歩踏み込んで、AWSの具体的なサービスと、それらのサービスを利用して構築できるシステムについて詳しく解説していきます。
AWSは多種多様なサービスを提供しており、一見すると複雑で難しそうに感じるかもしれません。
しかし、それぞれのサービスが持つ機能を理解し、適切に組み合わせることで、あなたのビジネスを大きく成長させる強力なシステムを構築することが可能になります。
この記事では、専門用語をできる限り避け、わかりやすく解説していきますので、AWS初心者の方でも安心して読み進めることができます。
読み終える頃には、AWSのサービスがどのようにビジネスに役立つのか、具体的にイメージできるようになっているはずです。
AWSの主要サービスと構築できるシステム
AWSは、コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワーク、セキュリティ、分析、機械学習など、幅広い分野にわたるサービスを提供しています。
これらのサービスを組み合わせることで、ウェブサイトやアプリケーションの構築・運用、データ分析、AI・機械学習の活用、業務効率化など、様々なビジネスニーズに対応することができます。
以下では、中小企業にとって特に役立つAWSの主要サービスと、それらのサービスを利用して構築できるシステムについて、具体的に解説していきます。
1. コンピューティング
コンピューティングとは、データの処理や計算を行うためのサービスです。
AWSのコンピューティングサービスを利用することで、サーバーの調達や管理、OSのインストールなどの手間を省き、必要な時に必要なだけコンピューティングリソースを利用することができます。
1-1. Amazon EC2 (Elastic Compute Cloud)
EC2は、AWSの最も基本的なサービスの一つであり、仮想サーバーをクラウド上に構築することができます。
仮想サーバーとは、物理的なサーバーを仮想化技術によって分割し、複数のユーザーがそれぞれ独立したサーバーとして利用できるようにしたものです。
EC2を利用することで、サーバーの調達や設置、OSのインストール、セキュリティ対策などの手間を省き、必要な時に必要なだけサーバーリソースを利用することができます。
EC2は、ウェブサイトやアプリケーションの運用、システム開発、データ分析など、様々な用途に利用することができます。
EC2で構築できるシステム例
- ウェブサイトの構築: EC2上にウェブサーバーを構築し、ウェブサイトを公開することができます。
- 業務システムの構築: EC2上に業務システムを構築し、社内や社外からアクセスできるようにすることができます。
- 開発環境の構築: EC2上に開発環境を構築し、システム開発を行うことができます。
1-2. Amazon Lightsail
Lightsailは、EC2よりもさらに簡単に仮想サーバーを構築・運用できるサービスです。
Lightsailは、WordPressなどのCMS (コンテンツ管理システム) を簡単にインストールできる機能や、ロードバランサー、DNS管理などの機能を備えており、初心者でも簡単にウェブサイトやウェブアプリケーションを構築・運用することができます。
Lightsailで構築できるシステム例
- ブログ: WordPressをインストールして、ブログを簡単に開設することができます。
- コーポレートサイト: 企業のウェブサイトを簡単に構築することができます。
- ECサイト: ECサイト構築プラットフォームをインストールして、ECサイトを運営することができます。
1-3. AWS Lambda
Lambdaは、サーバーレスコンピューティングサービスです。
サーバーレスコンピューティングとは、サーバーの管理をAWSに任せ、開発者はコードの実行に集中できるサービスです。
Lambdaを利用することで、サーバーの調達や管理、OSのインストールなどの手間を省き、コードの実行に必要な分だけ料金を支払えばよいため、コスト効率に優れています。
Lambdaは、イベント駆動型のアプリケーションや、APIのバックエンド処理などに利用することができます。
Lambdaで構築できるシステム例
- 画像の自動リサイズ: 画像がアップロードされたら、Lambdaが自動で画像をリサイズするシステム
- データの自動処理: データベースにデータが追加されたら、Lambdaが自動でデータ処理を行うシステム
- チャットボット: Lambdaを利用して、チャットボットのバックエンド処理を実装する
2. ストレージ
ストレージとは、データを保存するためのサービスです。
AWSのストレージサービスを利用することで、データを安全かつ効率的に保存することができます。
2-1. Amazon S3 (Simple Storage Service)
S3は、AWSの最も基本的なストレージサービスの一つであり、オブジェクトストレージと呼ばれるタイプのストレージです。
オブジェクトストレージとは、データを「オブジェクト」と呼ばれる単位で保存するストレージです。
S3は、ウェブサイトのコンテンツ、アプリケーションのデータ、バックアップデータなど、様々な種類のデータを保存することができます。
S3は、耐久性、可用性、スケーラビリティに優れており、大量のデータを安全かつ低コストで保存することができます。
S3で構築できるシステム例
- ウェブサイトのコンテンツ配信: S3にウェブサイトのコンテンツを保存し、CDN (Content Delivery Network) と組み合わせて、高速なコンテンツ配信を実現することができます。
- データレイク: S3に大量のデータを蓄積し、データ分析に活用することができます。
- バックアップ: 重要なデータをS3にバックアップすることで、万が一のデータ消失に備えることができます。
2-2. Amazon EBS (Elastic Block Store)
EBSは、EC2インスタンスにアタッチして利用するブロックストレージです。
ブロックストレージとは、データをブロックと呼ばれる単位で保存するストレージです。
EBSは、データベースやアプリケーションのデータなど、高性能なストレージが必要な場合に利用されます。
EBSは、耐久性、可用性、パフォーマンスに優れており、ミッションクリティカルなアプリケーションにも利用することができます。
EBSで構築できるシステム例
- データベース: EBSにデータベースを構築することで、高性能なデータベースシステムを構築することができます。
- アプリケーション: EBSにアプリケーションのデータを保存することで、アプリケーションのパフォーマンスを向上させることができます。
3. データベース
データベースとは、データを構造化して保存し、効率的にアクセスできるようにするためのサービスです。
AWSのデータベースサービスを利用することで、データベースの構築、運用、管理を容易に行うことができます。
3-1. Amazon RDS (Relational Database Service)
RDSは、リレーショナルデータベースをクラウド上で簡単に構築・運用できるサービスです。
リレーショナルデータベースとは、データをテーブルと呼ばれる表形式で保存し、テーブル間の関係を定義することで、データを効率的に管理できるデータベースです。
RDSは、MySQL、PostgreSQL、Oracle Databaseなど、様々なリレーショナルデータベースに対応しており、用途に合わせて最適なデータベースを選択することができます。
RDSは、データベースの構築、運用、管理を自動化してくれるため、データベース管理者の負担を軽減することができます。
RDSで構築できるシステム例
- 顧客管理システム: RDSに顧客情報を保存し、顧客管理システムを構築することができます。
- ECサイト: RDSに商品情報や注文情報を保存し、ECサイトを構築することができます。
- 業務システム: RDSに業務データを保存し、業務システムを構築することができます。
3-2. Amazon DynamoDB
DynamoDBは、NoSQLデータベースと呼ばれるタイプのデータベースです。
NoSQLデータベースとは、リレーショナルデータベースとは異なり、スキーマレスで柔軟なデータ構造を持つデータベースです。
DynamoDBは、高可用性、スケーラビリティ、パフォーマンスに優れており、大量のデータを高速に処理することができます。
DynamoDBは、モバイルアプリケーション、ゲーム、IoTなど、大量のデータアクセスが発生するアプリケーションに適しています。
DynamoDBで構築できるシステム例
- モバイルアプリケーション: DynamoDBにユーザー情報やゲームデータを保存し、モバイルアプリケーションを構築することができます。
- IoT: DynamoDBにセンサーデータなどを保存し、IoTシステムを構築することができます。
4. ネットワーク
ネットワークとは、コンピューター同士を接続し、データ通信を行うためのサービスです。
AWSのネットワークサービスを利用することで、安全かつ効率的なネットワーク環境を構築することができます。
4-1. Amazon VPC (Virtual Private Cloud)
VPCは、AWSクラウド上に仮想的なネットワーク環境を構築できるサービスです。
VPCを利用することで、AWSクラウド上に独自のプライベートネットワークを構築し、セキュリティを強化することができます。
VPCは、EC2インスタンスやRDSデータベースなど、様々なAWSリソースを接続することができます。
VPCで構築できるシステム例
- セキュアな社内ネットワーク: VPCを利用して、AWSクラウド上にセキュアな社内ネットワークを構築することができます。
- ハイブリッドクラウド: VPCを利用して、オンプレミス環境とAWSクラウドを接続し、ハイブリッドクラウド環境を構築することができます。
4-2. Amazon Route 53
Route 53は、DNS (Domain Name System) サービスです。
DNSとは、ドメイン名とIPアドレスを紐付けるシステムです。
Route 53を利用することで、ドメイン名とEC2インスタンスやS3バケットなどのAWSリソースを紐付けることができます。
Route 53は、高可用性、スケーラビリティ、セキュリティに優れており、信頼性の高いDNSサービスを提供します。
Route 53で構築できるシステム例
- ウェブサイトのドメイン管理: Route 53を利用して、ウェブサイトのドメインを管理することができます。
- トラフィックの分散: Route 53を利用して、トラフィックを複数のサーバーに分散させることができます。
5. セキュリティ
セキュリティとは、システムやデータを不正アクセスやサイバー攻撃から守るためのサービスです。
AWSのセキュリティサービスを利用することで、システムやデータを安全に保護することができます。
5-1. AWS IAM (Identity and Access Management)
IAMは、AWSリソースへのアクセスを制御するためのサービスです。
IAMを利用することで、ユーザーやグループに対して、AWSリソースへのアクセス権限を細かく設定することができます。
IAMは、セキュリティを強化し、不正アクセスを防止するために不可欠なサービスです。
IAMで構築できるシステム例
- アクセス制御: IAMを利用して、ユーザーやグループごとにAWSリソースへのアクセス権限を設定することができます。
- 多要素認証: IAMを利用して、多要素認証を導入し、セキュリティを強化することができます。
5-2. AWS WAF (Web Application Firewall)
WAFは、ウェブアプリケーションを保護するためのファイアウォールです。
WAFは、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなどのウェブアプリケーションへの攻撃を検知し、ブロックすることができます。
WAFを利用することで、ウェブアプリケーションのセキュリティを強化することができます。
WAFで構築できるシステム例
- ウェブアプリケーションの保護: WAFを利用して、ウェブアプリケーションをサイバー攻撃から保護することができます。
6. 分析
分析とは、データを分析し、ビジネスに役立つ情報を得るためのサービスです。
AWSの分析サービスを利用することで、大量のデータを効率的に分析し、新たな知見を得ることができます。
6-1. Amazon Athena
Athenaは、S3に保存されたデータをSQLクエリで分析できるサービスです。
Athenaを利用することで、S3に保存されたデータを簡単に分析することができます。
Athenaは、サーバーレスサービスであるため、サーバーの管理や設定を行う必要がなく、必要な分だけ料金を支払えばよいため、コスト効率に優れています。
Athenaで構築できるシステム例
- ログ分析: S3に保存されたログデータをAthenaで分析し、システムの稼働状況を把握することができます。
- マーケティング分析: S3に保存された顧客データをAthenaで分析し、マーケティング施策の効果を測定することができます。
6-2. Amazon Redshift
Redshiftは、データウェアハウスサービスです。
データウェアハウスとは、大量のデータを分析するために設計されたデータベースです。
Redshiftは、ペタバイト規模のデータを高速に分析することができます。
Redshiftは、ビジネスインテリジェンス (BI) やデータ分析に利用することができます。
Redshiftで構築できるシステム例
- BI: Redshiftに企業のデータを蓄積し、BIツールと連携して、経営分析を行うことができます。
- データ分析: Redshiftに大量のデータを蓄積し、データ分析を行うことができます。
7. 機械学習
機械学習とは、コンピューターに大量のデータを学習させ、データに潜むパターンやルールを発見させる技術です。
AWSの機械学習サービスを利用することで、高度なAI技術をビジネスに活用することができます。
7-1. Amazon Rekognition
Rekognitionは、画像や動画の分析サービスです。
Rekognitionは、画像内のオブジェクトや人物の認識、顔認識、テキスト抽出など、様々な機能を提供します。
Rekognitionは、セキュリティカメラの映像分析、顔認証システム、画像検索システムなどに利用することができます。
Rekognitionで構築できるシステム例
- セキュリティ: Rekognitionを利用して、セキュリティカメラの映像を分析し、不審者を検知することができます。
- 顔認証: Rekognitionを利用して、顔認証システムを構築することができます。
7-2. Amazon Polly
Pollyは、テキストを音声に変換するサービスです。
Pollyは、自然な音声合成技術により、高品質な音声を生成することができます。
Pollyは、音声コンテンツの作成、ウェブサイトの読み上げ機能、音声案内システムなどに利用することができます。
Pollyで構築できるシステム例
- 音声コンテンツ: Pollyを利用して、音声コンテンツを作成することができます。
- ウェブサイトの読み上げ: Pollyを利用して、ウェブサイトのコンテンツを読み上げることができます。
まとめ
この記事では、中小企業にとって特に役立つAWSの主要サービスと、それらのサービスを利用して構築できるシステムについて解説しました。
AWSのサービスは多岐にわたりますが、それぞれのサービスが持つ機能を理解し、適切に組み合わせることで、あなたのビジネスを大きく成長させる強力なシステムを構築することが可能になります。
AWSの導入を検討されている方は、ぜひこの記事を参考に、AWSのサービスをどのように活用できるか検討してみてください。
もしAWSの導入について疑問や不安がある場合は、お気軽にご相談ください。 私たちixisは、中小企業のAWS導入を全力でサポートいたします。